庭と木、外構
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季刊誌「木土愛楽 42号」の差し替えについて
先日季刊誌「木土愛楽 42号」をお送りした皆様へ
印刷時のファイルが訂正前のファイルでしたので差し替えをお願いします。
ここをクリックしていただければ、正しいファイルがダウンロードできます。
メイルでお送りした皆様には再び新しい「木土愛楽 42号」をお送りします。申し訳ありませんでした。
2009年11月18日 (水)
自然の素材で水盤の坪庭
流れ落ちる水の音・・・いいですね。しばし聞き入ります。
人は体の75%以上を水分で構成しているので、素直に染み入る感じの響きです。
石は・・・古くから建築に使われる自然素材です。
電気がない昔は、固い石はきれいに切断などできなかったので、鏨を使った割り肌としてつかわれてました。ですので庶民の家などではめったにない素材です(丸石除)。
電気が一般的になり、石の表面が磨けるようになると、水磨き(本磨き)が簡単にできるようになり、百貨店の床や最近では衣料のシマムラさんの床でも見られます。
石英を多く含む石の耐久性は非常に高く、墓石に利用した場合は、その水磨き表面は長期間(50年程度)ツルツルしたまま継続し、これが石の最大の魅力となってます。同じように釉薬をかけた焼き物(食器、便器等)も比較的長く続きますが、表面が薄いので、ちょっとした衝撃で表面が破壊されます。
何回かご紹介しているこの水盤は、メンテナンスを軽減するために水のはる表面を本磨きしております。ツルツルが長期間続くので藻の除去が比較的簡単です。
水盤は2つのアプローチがあるとおもいます。ひとつは今回のようにツルツル仕上げ、その光沢を長期間維持すること。2つ目は藻やコケをわざと生えやすいようにし(または石自体が生えやすいものを選ぶ)、古びた感じを出した水盤。
両方とも魅力的です。後者もメンテナンスにそう気を使わなくともそれなりの風情を出してくれます。今回は、坪庭ゆえに広がりのある大きい水盤を使うイメージでしたので、前者のツルツルの水盤を計画しました。
自然素材の魅力は、「ソリッド」であることにつきます。
表面だけをきれいにメッキしたまがい物でないソリッドが、
磨耗したり、傷ついたとき、手直しできる安心感があります。
その何回かの手直しを経てようやく図面どおり近くなりました。本来ならもう一工夫ある加工を、図面ではお願いしたのですが、ギブアップのようです。水の落ちた音にそう影響はないのでこれで完成とさせていただきました。
各工事担当の業者さんは、下の図面だけでは完成形が想像できなかったようで、完成して初めてこうなるのか!とうなづいてました。私の頭の中では完成形は最初からあり、それが設計図として表現されます。
水深2cmのゆっくりと循環(10W )する水。
まるで深山の小川のせせらぎ音のようです。
造って頂いた石屋さんの社長さんも完成写真を一枚。
当方強い推薦のメタハラの照明の効果も抜群でした。
(照明は消費電力250Wもあるいので、普段使いは
できませんが、お客様の御もてなしのときに
使っていただければと思います。また4日に一度換水をすれば
夏場でもボウフラは発生しないでしょう)
2009年11月12日 (木)
自然な木々 ナチュラルガーデン 続の続 (モダンな坪庭)
ナチュラルガーデンの家は、正反対のイメージの坪庭があります。坪庭のあるプランは長いアプローチと共に建て主さんの当初からのご希望です。
家にお見えになるお客様に、玄関戸までの空間を心地よく感じて頂きたいという、おもてなしの心です。
基礎が高いので、玄関まで階段が多く必要ですが、それを感じさせず奥へと導くアプローチ。
まだ左下の路地草は植えられておりませんが、雰囲気のあるアプローチです(照明の位置は、何度も現地でシミュレーションしました)。
アプローチの左手一番奥に坪庭はあります。当初は普通の緑がある坪庭の予定でしたが、閉鎖された「じめじめ感」になりそうなので計画変更。酸性雨に強い御影石貼りで、本磨き仕上げの大きな水盤を設けました。
この水盤は二つから成り立ち、写真にあるとおり腰掛のような大きな水盤で巾は2.4mになります。
もうひとつの水盤は、床自身が水盤に見立ててあります。小さなプールのような大きな水盤となります。
今日の「主」のもてなしは、紅葉した葉っぱを浮かべてありました。
水盤は顔が映る本磨き仕上げであるため、コケ類が生えてもお掃除が簡単。いつでも清潔に保ちやすいはずです。
「さらさら」と流れ落ちる水の音は、心を落ち着かせてくれます。水はポンプで循環させており、その消費電力も10Wのものをチョイスしました。家中のホタルスイッチの消費電力よりより少ない電力です。ちなみにホタルスイッチは使ってません。
暗くなりがちな坪庭が「きらっと」自然に明るいのは、メタルハイランドという水銀灯を高さ7mのところから真下に照らしているからです。
そして玄関に入るとこのように、窓ガラス越しに月下の水に浮かぶ落ち葉を目にして、・・・しばし無言で眺めます。
PS
家の中央近くの坪庭と言う場所柄、外部ながらユニットバスと同じFRPと言う素材で全面防水を施し、長年の漏水にも万全を尽くしました。そのため坪庭ながらある程度コストがかかり、それをご理解頂けた建て主様には大変感謝いたします。
2009年11月11日 (水)
自然な木々 ナチュラルガーデンの一次工事終了 続き
やはり日本人ですね。このコントラストと形には何か言い知れぬ美を感じます。
雨の日の幹や葉っぱの濡れ色がなんともいえません。晴れた日には絶対にない鮮やかな色です。
うっとりするような色彩ですね。
さて、今日はもうひとつの外構工事で坪庭の水盤の手直し工事の立会いのため現場に行きました。そのとき昨日ブログでご説明したコンクリートの水切りのリアルショットが撮影できましたのでご案内します。
雨の雫が笠木先端にあるのがわかります。強く降っているにも関わらず、笠木の直ぐ下はまったく濡れてません。水がよく切れてます。
下から見上げると雫の位置がよくわかります。この切れ位置だから汚くなりにくい打ち放し塀ができます。当たり前の納まりです。
硬い石もダイアモンドカッターでスムーズにカットしてます。この水盤のご紹介はいずれいたしますが、中庭のじめじめした感じを嫌い、明るく清潔感をもってお客様をお迎えしたい玄関を!と考え巨大できらびやかな水盤(巾2.3m)を計画しました。
2009年11月10日 (火)
自然な木々 ナチュラルガーデンの一次工事終了
レッドサンセット・・・名前のとおりの木です。まだ県内の庭には珍しい落葉樹で、植木屋さんのお勧めでしたので、建て主さんが迷わずチョイスされたようです。
最近の家は本当に落葉樹を植える家が少ないです。落ち葉を嫌うからでしょうか?落ち葉も自然現象です。落ち葉から豊かな土が生まれ森になります。近隣の落ち葉が自分の庭や敷地に入ってきたら、土の栄養が来たと喜びを感じます。
写真以上にびっくりするほど、イロハもみじの真紅と外壁の色が似合うお庭の一次工事が終了しました。和風になることを嫌い、雑木(落葉樹が主)類でまとめて、里山を凝縮した雰囲気で計画します。それらしくなるには数年掛かりますが、完成形を創造してグランドデザインをしました。
アプローチに落ちている葉っぱがいいですね。植えたばかりなので、木がまだなじんでませんが、コンクリート打ち放しとの相性もよいですね。コンクリート打ち放しは、よく見かける仕上げですが、大事な工夫がしてあります。それは上の「笠木」と呼ばれる水切りです。写真の丸印のように壁面より上が出てます。これで壁面が汚れるのを防ぎます。
細かいところですが、これがあるのとないのでは、相当違います。
笠木がないとこんな感じです。上端に溜まったの汚れが雨で流れ壁面を伝わると「よだれ」になります。
緑の家の笠木を設けたコンクリート打ち放しの壁。4年経っても新築時のまま。
このあたりが設計事務所の細かい仕事です。普通の会社はこの笠木を設けてませんね。当事務所がこれを指定すると業者さんは不思議な顔をします。
もちろん高さの低いコンクリート打ち放しや、見えにくいところは笠木を設けいませんが・・・。
2009年11月 4日 (水)
新潟の家 ナチュラルガーデンの庭木の手本
先日ナチュラルガーデンでお手本となる本の事をお伝えしました。この本がそうです。
この本は、10年くらい前に偶然出会った本で、今でも大切に本棚に置いてあります。
生命の森というタイルとですが、内容は新潟県の森について分かりやすく書いてあります。学術的な事と経験上の事が融合しストンと心に響きます。
本物の森は主となる木があり、それを取り囲むように森が形成されており、更地から森ができるまで数百年ほどかかるそうです。
森の初期はおなじみの松林から始まり百年で落葉木がとって代わり、更にその後数百年で主木の森が形成されます。主木といっても一本ではなくその木の種類の事で、例えば「赤がし」などの事です。
日本の庭は、手入れを怠ると日本の気候が木の成長に適しているので、あっという間に荒れます。この荒れが百年続いてようやく本物の森になっていきますが、普通はそこまで待てないので松や椿など初期に形成される森をまねる事が多いです。それを最初から本物の森の構成で植え込むと、数十年で本物の森ができます。この会が手掛けた実例では長岡の川崎小学校の森や三条の川瀬クリニックさんの「樫の森」などがあります。三条の「樫の森」はその名前のとおり、樫の木が主木です。
本物の森はいつも構成が決まってます。まず道路(海岸)から
そで族→マント族→林
ですね。林には主木がありその下や近隣に低木があったりします。こういった森の構成を計画し植え込むことで、本物の森のように木に勢いが生まれ妖精が住むような「気」が感じられるようになります。
逆に林の中にある低木(EX.ミズキや山ぼうし)などは、元々マント族に風から守られ、強い日射からも主木や高木に守られている生い立ち上、風が吹きつける所や、一本立ち、強い日射が当たる所に植え替えると、あまりよい木になりません。そして痩せた木の庭になります。
普通の庭屋さんはこの事をあまり説明せず、この木は風に弱いとは、日に弱いとかで済ませますが、風に弱い場合、他のマント族とのセットで植え込む事で防ぐこともできます。要は早めに本物の森の構成を造れば、見ていて勢いのあるナチュラルガーデンの林ができますね。
だからこの会の手がける庭は、早めにその森の構成を造って植え込み、数十年で本物の森を街の中に造ってしまします。一度本物の森になったその中は、独特の森の匂いがあり、雑草も生えにくくなります。川崎小学校の森は有名ですね。
この本は森を知るための素晴らしい本です。是非一読をお勧めします。ただ残念なことに本屋さんでは置いてません。在庫があれば直接上の写真にある出版所から入手できます。ご興味のある方はどうぞ。
より以前の記事一覧
- 新潟の家 家と庭の関係 2009.08.28
- 最近多いロフト収納の危険性 2008.03.26
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