« なぜ新潟県では夏期通風をしないのか 実測編2 | トップページ | なぜ新潟県では夏期通風をしないのか 実測編3 »

2016年7月24日 (日)

熊本地震の倒壊原因はやはり設計・施工ミスが多い。

日経ホームビルダー2016年8月号の記事によると・・・

現行の耐震基準(2000年以降)で建てられた建物の倒壊した原因の中間結果(建築学会)の記事があった。

Dscn9260

その中で・・・

現行の耐震基準の2000年以降建てられたはずであるが、仕様がその基準に合致していない可能性があるものが90%以上を占め、仕様が基準に合致しているもの倒壊に至ったものがわずか4%である。

とのことです。

やはり・・・

設計の瑕疵と施工の瑕疵があり、法律で定められた基準に沿っていないことが大きな原因であり、筋かいが弱い(期待通りの性能がない)とかという当初広がった話はデマとなります。

ではなぜ筋交いが問題視されたかを想像するに、筋かいを好んで使う設計者や工務店はあまり耐震性に関心がない方が多い事が原因でしょう。

筋かいは戦後から始まっておりますから既に70年近く、一方合板は30年位前からなので、新しい工法や耐震に関心ある方が使います。耐震に関心が無ければ、筋かいの端部金物の重要性や筋交いの節が欠陥になることを想像出来ないので瑕疵が多くなります。よって筋交いが悪いというより、耐力壁において筋かいをよく使う人たちの集合体が、合板を使う人の集合体より耐震性に対する瑕疵が多くなるのであって、筋かいが悪いとの単純結果にはなりません。これは分析手法のイロハのイといわれる注意事です。
しかし合板は釘のピッチだけ気をつければ工場生産される材質の安定性は、自然素材を挽き割って使う無垢の筋かいより抜群に高いので、誰が施工しても同じ耐力になりやすい事は事実です。一方筋かいは施工側の品質保証体制が大きく耐力左右するのです。

これは大きく見ると、在来軸組工法と2×4工法も同じ事がいえ、2×4工法のほうが耐震性を意識している人が作り、且つほとんど工場生産される合板材料で作られるので誰が作って軸組工法ほど施工影響はないのです。

よって・・・

どんなによい基準、材料を指定しても、それを設計・施工する側が理解して正しく運用しなければ机上の空論か、絵に書いた餅となります。

前もお伝えしたとおり・・・
筋かいは、耐震性が最も大事と思っている「緑の家」の主力でしたが、断熱材の施工に手間がかかる事もあって合板に切り替わる予定です。デメリットとして充填断熱材厚さが120mmから105mmと15mm薄くなります。

|

« なぜ新潟県では夏期通風をしないのか 実測編2 | トップページ | なぜ新潟県では夏期通風をしないのか 実測編3 »

構造、構造計算、耐震、等級 」カテゴリの記事

コメント

日本の家の問題点として断熱、耐震性に加えて欠陥というのも目に見えない分非常に大きなウエイトを占めているのではと感じます。
新築検討にあたって現場監督暦10年以上、インスペクション件数が1000件を超えているホームインスペクターの方3人ほどにお会いしたことがありますが、みな口をそろえて現状新築の欠陥率は5割以上とのことでした。その欠陥というのも断熱材の荒い施工、柱の規定以上の欠損、釘のうち忘れといった床に傷ガーというしょうもない欠陥ではないと全員の一致を見ました。
ここまで現場がひどいとなるとカリフォルニア州のように公的機関が一工程ごとに検査に入るべきなのではないかと感じます。

投稿: N | 2016年7月24日 (日) 15時09分

職業柄世界基準であるISOの規定に則り、工場業務の改善に携わることがあるのですが、重大なミスにつながる可能性がある改善というのはほとんどの工場で見受けられます。
原発問題でも顕著ですがミスは絶対に許容できないせいで硬直化してより大きな問題になってしまうというのが日本では発生しやすいです。
単一製品の製造のみを行う工場でさえこれなのを鑑みるに、住宅現場においての公的機関による第三者検査の厳格化は避けようがないのではと思う今日この頃です。

投稿: N | 2016年7月24日 (日) 15時15分

N様

 いつもありがとうございます。
頂いたコメントのとおりですね。ただ、

>住宅現場においての公的機関による第三者検査の厳格化は避けようがないのではと思う今日この頃です。

は少し私の意見は違います。

生命と財産に直結する建物は既に法律で・・・
建て主さんによって指名された設計者が業として設計を行う場合は、その設計者が最低基準の法律を守る義務があります。つまり規制が有るのに守られない場合は、罰則を厳しくするか、他の法律でさらに検査回数を多くするかになります(現法では確認申請で1回検査される)。私は罰則が厳しくないことと、取締りが無いことが原因と思っております。

次に施工ですが、こちらも法律では既に建て主さんが工事監理者を指名し、この監理者が正しく設計された図面通り施工がされているか検査する責任があります。これが全くといっていいほど機能しておりません。この原因は工事監理者を建て主さんが指名しているのでは無く、多くは工務店が指名しているためで、工務店さんが指定すれば、工事監理者は工務店さん側に有利に事を運ぶことは容易に想像出来るでしょう。お金(仕事)を頂く方に顔を向けるのは仕方の無いことですから・・・。よってこちらも罰則強化と取締りを行う事で改善されると思っております。

投稿: オーブルの浅間です。 | 2016年7月28日 (木) 06時03分

罰則を厳しくしたとしても罰する側に知識がないとどうにもならないのでは?ようは現場がしょうもなさすぎて罰則のオンパレードになるのではということです。名前はいえませんがどこかのハウスメーカーさんは親会社の重役の家で欠陥をやらかしたそうです。例のまともなインスペクターさん達とは結構深く話し込んだのですが、罰する場である裁判にでてくる大概の建築士がひどすぎてどうしようもないというのを聞きました。ようは明らかに一般人からみて欠陥であるはずなのにそれは欠陥ではないとのたまうような建築士です。
公的機関や保険の検査にしても現状欠陥を見逃してしまっていることから考えると、社会的に人材の育成から始めなければいけないのではという信じたくないという私的結論に至っているところです...

ただ罰則強化は大賛成です。絶対に実現してほしいものです。インスペクターさんたち共通の意見はあれな業者なほど罰則がないため欠陥住宅を量産しているとのことでしたので。

投稿: N | 2016年7月30日 (土) 00時11分

この記事へのコメントは終了しました。

« なぜ新潟県では夏期通風をしないのか 実測編2 | トップページ | なぜ新潟県では夏期通風をしないのか 実測編3 »