なぜ新潟県では夏期通風をしないのか 実測編4
その前に・・・
なぜ床下空間がカビてはいけないかのおさらいで、
基礎断熱の床下空間は室内空間で室内空気となるからです。特に、特に、床下暖房をしている家では、強制的に床下の空気を居室に混ぜますからカビてしまってはいけないのです。
このテーマでは
露点温度とRH(相対湿度)の2つ指標がでてきますがまずそこの違いを整理。
露点温度とは空気中の湿気量を知るときの数値でカビの発育、発芽には直接関与しません。一方RH(相対湿度)は空気中の湿気量ではありませんが、カビの発育・発芽に最も影響を与える因子です。
よってその4はカビ中心の話なのでRH(相対湿度)が話です。
ピンク以外にオレンジ色に注目。終日RH(相対湿度)80%以上で30日あれば発芽する。
さてこのグラフが重要で、
基礎断熱を採用し、通風で夏季をすごす家の各場所のRH(相対湿度)です。
ここで紫色(ピンク色)の部分は、なんと3日で胞子が発芽してしまう脅威の環境を示します。ここは床下の空気がほぼ終日あてはまり、如何に床下が厳しい環境かわかると思います。
次にオレンジ色の部分は一ヶ月この環境が続くとやはり胞子が発芽する環境で、発芽したカビもこの部分で菌糸が急成長します。そしてここにピッタリ当てはまるところがあります。
そうですね。1階にある押し入れ内部です。押し入れはカビやすいのこのグラフを見れば納得でどうして押し入れがこのようになるのか少し説明します。
まず事実を再確認・・・。
外気は殆どカビの生育環境に入るがカビの発芽環境が意外とすくない。
外気のRH(相対湿度)は、上下に大きく変動しております。この変動は気温の影響が高く、気温が上がる日中にRH(相対湿度)が下がり、気温が低くなる夜間にRH(相対湿度)が高くなります。
通風している家のリビングRH(相対湿度)は、高湿に向かう場合は外気にわずかに遅れて連動し、低湿に移行する場合は、少し遅れて低湿のピークを迎えております。この差は吸放湿する物質(建材、木や家具、衣類等)と完全混合の時間があるためです。吸放湿材が多いほどバッファーになり、また換気回数が少ないほど差が開く事になります。
青丸が外気のRH(相対湿度)が変化してより遅く変化するRH(相対湿度)が下がる部分。
次に押し入れのRH(相対湿度)と外気RH(相対湿度)との関係です。
先ほどのリビングと比べて外気とは半日ほどズレているのわかりますか。
押し入れは布団や衣類があるので吸放湿材が沢山あります。そのためそれらが断熱材になり、また吸放湿もするのでこのような変化になります。まとめると次のグラフになります。
①から②へ、そして③の変化が起こる。外気と押し入れはほぼ半日ずれる。
まず最初に外気のRH(相対湿度)変化があり、それから遅れてリビングが反応し、半日おくれて押し入れが変化します。吸放湿材に囲まれた押し入れは湿度の変化が遅れることと、温度の変化が分厚い断熱材によって伝わりにくい事が原因で常時高湿=ダンプネスになってしまうのです。
さて・・・通風で夏季を暮らす家は、実は床下空間だけではなく押し入れも高湿=ダンプネスになる事が実測されました。この押し入れのカビ防止は昔からある方法がとられており、それによってカビ害を防止しておりました。これはその⑤で説明します。
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