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2016年6月25日 (土)

重要!耐震性の基本は法律をまず守ること その2

8754今月号・・・濃い内容である。

何時もご紹介している日経ホームビルダーという住宅業者専門誌に。この度の熊本地震の特集があり、

「長期優良住宅を取得した住宅が倒壊した原因を検証」

とあり途中検証ですが良い情報が掲載されており(24日閲覧可能)ました。

この本の販売はこちらで行っております。

その「長期優良住宅を取得した住宅」とは、耐震等級2で国の認定を受けていることになります。しかし、その設計図を見た時に愕然としました。

酷すぎます・・・。

これはどう見ても素人の耐力壁計画です。多分推測するに、構造設計者と基本設計を行った人は別で、基本設計を行った人は、近年の木軸組構造を知らない素人でないかと思います。少なくとも私はこの耐力壁位置を見るとそう思いますが、それは多分意図されてそのように計画されたのかも・・・。ならもっと悪いですね。

構造を知っている人なら、1階の耐力壁上に2階の耐力壁を計画します(せめて軸通りか梁を強くする)。1階と2階の耐力壁がそろっている率を「直下率」と呼ぶことが多いですが、これが66%以上(2/3)を標準として私は考えますが、この家は20%・・・つまり殆ど揃っていない・・・このあまりにも低い直下率は逆に意図しないと出来ません。通常外周廻りを揃えることがデザイン的にも綺麗になるので、ここでほぼ全体の半分以上は揃います。しかしこの家は外周廻りの耐力壁が揃っておりません。更に、耐力壁は確かにあるけれどN値計算で耐震等級2を取得したらしく、 その筋かいのむきと位置は柱端部金物が一番少なくなるように、あえて設計されているのです。この構造を実際の現場で軸組だけの時に見ると大変煩雑で汚いでしょう。筋かいが悪いとか、合板がよいとかの前に、構造に対する考え方(安全性が目的ではなくなっている)が大問題なのです。

またこの本に載っていた再現図面をを見ると・・・引き抜き金物25KNが柱から455も離れた所に設置・・・これって意味がわかりません。耐力壁の柱に引き抜き力が掛かるのでその柱と基礎を25KNで緊結なのに・・・455mmも乖離した普通の柱と基礎を緊結って・・・全く意味不明です。この掲載された平面図は著作権があると思うのでここに載せて解説はできませんが、是非本を購入して見て頂ければわかります。酷すぎます・・・この設計は。

Dscf11452階から1階まで綺麗に揃う筋かい(赤い線)・・・。この場合この部分だけの直下率は100% となる。

_kizukuri一番下のような2階耐力壁下(軸通り)に耐力壁がないことは出来るだけ避ける。

理論的に良い構造は上のように美しさをもっております。それがその倒壊した建物からは全く感じることができません。「緑の家」の耐震等級3を取得した高崎の家の場合、耐力壁直下率は84%・・・と理想的。

また長期優良住宅ではない2001年以降に建てられたその他の建物でも、倒壊している建物があり、現地で調べると、明らかに施工不良の原因が見つかるのです。これは先月で申し上げたとおり、

筋かい材に大きな節があるもの、端部金物がないもの・・・

設計がおかしくて更に施工までまともでなくれば、いくら建築基準法どおりに造ったと思い込んでも、法律が定めた耐力がでるはずもありません。

また最近の外壁はどんどん厚くなり重くなっているのに、30年前の軽い外壁の基準で造った基準法の仕様規定にいくら沿っても、それでは耐力不足の建物が多くなるでしょう。

えっ・・・外壁が重いと耐力壁を増やさなければいけないの?

なんて聴いてくる設計者がいたらそれは設計者ではなく、営業マンです。技術者ではありません。地震力は建物重さに比例して大きくなります。重い建物はそれなりに耐力壁が多く必要になることは、設計者なら構造のイロハのイです。無論太陽光発電パネルも重いので、耐力壁を増やす必要があります。

最近は断熱性を上がるために柱の外側に断熱材を貼る付加断熱がおおくなり、壁厚が大きくなっております。この大きくなった重量をご存じでしょうか?この重くなった付加断熱材分地震力を増やす必要があります。

そうですね・・・

断熱材が30N/m2、壁を厚くする為の木下地が100N/m2ですから合計130N/m2で外壁は200m2あるとすると

1件で2600Nだけ付加断熱は荷重を増やすことになります。これだけでも耐力壁一枚(倍率4)余計にXY両方向に必要となります。

家の設計で一番大事なことは

耐震性(耐震設計の計画)です。

外観の格好良いデザインでも、断熱性でもありません。

耐震性とは法律を守った正しい構造設計と正しい施工です。それ抜きに法律を改正して強くしても仕方ありません。長期優良住宅でも行政は施工のチェックはしません。法で定められ建て主が指名した工事監理者が責任を持って行うからです。

ところがこの熊本地震で多くの家が壊れた事をきっかけに再び法律を改正しようとする話があるようです。私はまず現在の法律を確実に守らせること(工事監理者のチェックも)が優先で、それから次のステップである耐力の見直しなどの法律の改正だとおもいます。
では法律を守らせるために何をすべきか?

これは現在4号建築物特例となっている事を廃止し行政が構造の確認をする事では無く、法律を守らなかった(特に耐震性)設計者には退場を願う法律の整備です。お医者さんが法律でさだめられた診療を行わず、自己流の処置をして人に危害を与えれば、その世界から放りだされるでしょう・・・、それと同じくすれば良いだけの事で、診療する前に治療計画を行政が確認し許可する事はありません。

因みに・・・最大手大和ハウス工業さんも軽量鉄骨2棟が倒壊しておりますが、大和ハウス工業さんの着工棟数からみれば、何らかのイレギュラーがあった(相当負荷があったのか)・・・と理解できます。

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