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2013年6月13日 (木)

家庭用エアコン論文2013年 その②

今回もとっーてもマニアック内容なので興味がない人はスルー願います。

最初に・・・

その①の後に恩師からエアコンに関する情報を頂きました。その情報はなかなかインパクトがありますが、公表前なので残念ですが掲載できません。ですが軽く触れると、

・定格能力と価格は比例しているらしい

・家庭用エアコンは2.2~8kw程度まであるが、COPの山が2~3つであり、これはどのメーカーもほぼ同じ。多分最適化された機種とその拡張版でエアコンは構成されているのでは・・・。

ということです(ああー手元にある図を載せたいこの衝動)。

さて論文の本題ですが、

20137その①で紹介した論文中の図


この図↑は今回の論文に掲載されていた暖房時の実COPのグラフです。このグラフを見て2つ「あれっ変だな」と思いました。

一つは先回指摘したとおりグラフの横軸が「最大能力に対する負荷率」となっており、以前横軸によく使われていた「定格能力に対する負荷率」では無くなってしまいました。そのところは私も同意で、インバーターエアコンの特性として横軸は最大能力に対する負荷率のほうが良いと感じます。

実は2つめが問題で、
今から6~7年前の(私も論文を書いていた頃)査読論文で

Cci20130613_00000

と同じメンバーがいらっしゃるこちらの論文中にある図は・・・


Cci20130613_00001Cci20130613_000022006年の↑題名の査読論文から

Cci20130614_00000こちらは2010年の論文の図

このような図が掲載されており、この図は他の論文でもよく引用されていたので良く覚えております。さて何が問題かというと、COPの特性はインバーター式ヒートポンプエアコンの命のようなものです。その特性が、今回の論文のエアコン全てと全く違うのです。2006年の論文の図は、エアコンのCOPのピークが部分負荷率の80%位のところにあるのがわかります(青い線のところ)。

Dsc09716有名なマニュアル本。

Cci20130613_00003_2その中のP234にある図を抜粋。青アンダーラインは最大能力の半分が良いとある。しかし今回の査読論文では・・・


さらにこの論文などにより作成された「自立循環型住宅への設計ガイドライン」の準寒冷地版のP234には同じように部分負荷率の80~90%(最大出力の半分程度)が一番効率の良いところと断言しております。しかし・・・

今回の論文の図では(上の図)、どの機種もCOPのトップが定格能力の半分かそれ以下のところに来ております。つまりこれは部分負荷率(定格に対する負荷)でいうと40%~50%。これは部分負荷率から考えると2倍も違う事になります。しかしこの論文では同じ筆者がいるにも拘わらずその事はには一切触れておりません(他で発表された論文で述べていたらすみませんが)。この違いは大きな事をしめしております。つまり・・・

A.この図のどちらかが間違っているか、それとも

B.ここ数年でエアコンの特性が変わっているのか?はたまた

C.エアコンは機種毎に特性が大きく変わるのか?

の3つです。

最初のA.データが間違っているのかについてはその可能性も否定はできません。なぜならこの当時私が調査し、発表したエアコンの特性は、今回の論文(2013年版)と同じ特性で、部分負荷率40%のところがTOPだったからです↓図。またC.エアコンの機種毎に特性が違うのであれば、エアコンをしっかり評価する為にはそのエアコン自体の特性が重要になってきます。これはエアコンの評価法または運用方法の根本的な見直しとなります。それはある特定の点だけで評価すると、その条件が変わった時に特性が大化けする可能性があるからです。

1121こちらの図は私どもの研究したエアコンの実COPのグラフ。部分負荷率0.4(最大負荷に対し20~30%)のところが最大のCOPで、今回のCOP特性とほぼ同じもの。2006年頃の発表だから2004年生産機種の特性。


最後はB.ですがこれも可能性があります。今の評価はAPF(東京で算出)ですから、東京という条件では外気温が高く暖房負荷が少ないため、COPのTOPを低いところに持って来た方が、良いAPF数値になります。2005年のAPF評価がまだ義務で無かった頃と、このAPF評価が変わったので、メーカーがエアコンの特性をいっせいに変えたのかもしれません。

いずれにしても「自立循環型住宅への設計ガイドライン」の準寒冷地版という温熱環境を重視する設計者がよく見るマニュアル記載とは大きな違いが、今回の査読論文には明らかに表われております。

このようにたった一つの図だけでこれほど面白い事がわかるこの論文には大変感謝です。

この論文の原本はここにおいておきます。このような学術的な査読論文については著作権のおよぶものではないと判断します。それは税金も使われている法人内で研究が行われている事、また公益性が高いものとして解釈し、これらについては著作権は及ばないものと考えます。

その3に続きます。

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