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2010年12月15日 (水)

新潟の家 屋根の拘り・・・① 笑う棟梁。

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関川村に渡辺邸という豪商の古民家があります。国の重要文化財にしてされていおり、TV撮影にも使用される有名な建物です。

なぜこの建物の紹介かというと・・・

新潟県にはいくつかの豪農や豪商の建物が残っており、大体は見学できるようになっております。この建物もいつでも見学可能ですが、ちょうど今は解体修繕中の見学ができるということで我々業界人にはとってもうれしい見学時期なのです。この時を逃す訳にはいきません。作業中なので危険もあると思いますが、それでも見学会をしていただけるこの建物の管理者にまず感謝申し上げます。

実はそれを知ったのはいつもお世話になっております上野住宅建材のYさんが、
「浅間さん。今良い見学会をおこなってますよ。それにこの細い柱でこんな大きな下屋を支えているのか不思議でした。どうしてですか?」

Dsc00120 赤い楕円のところ柱がその細い柱。太さは105mmの面付きで、どこにでもあるような檜の芯持ち柱です。青い矢印の柱に見えるところは冬囲いの柵の支柱で柱ではない。たしかにこんな細い柱では支えられる事は絶対無理と直ぐわかる。また屋根の下にある化粧垂木も細く荒い間隔。ここが数寄屋風。

Dsc00007 赤い楕円の柱を外から見たところ。あり得ない大きさの下屋をこんな柱で支える事は無理。この建物を造った棟梁は「どうだ。不思議だろう」と言っているような屋根。

さてこの浮遊する屋根は実は黄色い楕円のところに秘密があります。しかしそれを外部からでは全く感じさせないその棟梁の遊び心。凄いですね。 また青い矢印のところも後でせつめしますから覚えて置いてください。さて実はこの細い柱を取り去っても屋根は崩れません(化粧の敷き桁は落ちますが)。というかこの細い柱と敷き桁はダミーです。棟梁がわざと「どうだ!不思議だろう」と設置したのでしょう。よくある大きな寺院の屋根もこうなってますよね。寺院と違う所はこの建物には「数寄屋」風の感覚がおりこまれているところです。ですが数寄屋では積雪地の新潟県では実用的ではありませんし、100年以上維持される建物にはふさわしくありません。その回答がこれだったのかも・・・等と想像することは楽しいです。

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なぜ解体作業中が楽しいかというとこのようなカラクリがみれるからです。黄色いところを中からみるとこのような屋根組になっています。複雑ですね。水色の矢印の梁が普通の家にはない物です。所謂ハネ木(出し梁)です。

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もう少し引いて見るとこんな感じです。赤いはね木(出し梁)で下屋の全荷重を支えております。だから細い柱は屋根の重量を支えてはおりません。そしてこのハネ木を梁で天秤のようにバランスをとっているのが、大きな主屋根の重量です。この細い柱はぶれ止めとしての役割はあるかもしれませんが、棟梁がわざと設置したと感じます。

しかし見事ですね。外から見て全く不自然でない形状だから、この細い柱が支えているような錯覚。下屋のこの薄い厚さで良くハネ木と梁がおさまっています(そこが凄いところ)。

この棟梁は既に亡くなっていると思いますが(笑)、今も驚く人を見てあの世で笑っているでしょう。

また次回に続きます。

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