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2010年4月 8日 (木)

超断熱住宅における冬の洗濯物② 新潟の自然素材の家から

昨日も前文で

設計事務所では特に理論と実践を大事にします。設計はそもそもこの世に同じ物が無いので設計する事になります(あれば前の設計図をそのまま造れば良いので設計図の必要がない)。だから今まで一度も造くられた事が無いので「理論」を頼りにし、設計段階で「理論」が成り立たなければ「実現」は困難と言う事を知っているからです。←当たりまえですね。

と書きましたが、ようやくその理論の方へ今日は話が移ります。

冬は家の中で積極的に洗濯物を干そう!と勧めて12年。その理論は今も変わりません。で、おさらいですが・・・

洗濯物が仮に10~12kg(5人家族の一日の量)とした時、その濡れている水の量は6kgありますから洗濯物からでる水蒸気の量も5~6Kgにもなります。この時濡れているこの水が気体の水蒸気になるための気化熱は586cal/g=586Kcal/kg=0.681Kw/kgです。つまり最低4kwhのエネルギーを必要とします。・・・とここまでは昨日と同じ。

この乾燥に必要な気化熱が超断熱住宅では結構な熱消費となります。

超高断熱ではQ値0.9w/m2k以下なので30坪くらいの家では真冬に一日あたり

0.9×18℃(平均温度差)×100m2(30坪)×24時間=38880wh=39kwh

あれば家中を22度で維持できます。これに対し

気化熱に対する全体の熱は4/39=0.1となり10%にあたります。洗濯物を乾かす行為は意外と結構大きな熱が室内から奪われます(超高断熱の場合は分母が小さいため)。

ところがこの奪われた熱は潜熱と呼ばれ室温から奪われたように見えますが、室内にある限り無駄にはなっていません。それは・・・
快適な湿度を維持する事になっているからです。快適な湿度とは約50%であり、湿度が低すぎると室温が22度あっても快適ではありません。ここから計算です。難しく考えないでさらっと流しても結果だけ見てもOKです。

では・・・

仮に延べ床面積で30坪家の気積(家全体の空気の量)が240m3ある家とすると

240/0.5回=120m3/h以上が換気されるように法律で最低設定されています。

この換気により外の空気が室内に入ります。
外の条件を冬のみぞれが降っている時とすると

単純に2℃の湿度100%の空気の水蒸気量5.6g/m3←外気

部屋22℃の湿度50%の空気の水蒸気量10g/m3←室内空気

法律で決められた24時間連続換気するすると考えると

一日で室内に放出される水蒸気16kg(洗濯物も含む1家族あたり)
                    ↑
                結構多いでしょう!このくらいでてますよ。

120m3/h×24h=2880m3 
120m3×5.6g×24h+16kg×1000=32128g

湿気が完全拡散であると考えると
当初部屋にあった空気の水蒸気量
120m3×10g=1200g
と発生する水蒸気の量の合計を総空気の量で割るとm3あたりの湿気となる。

(1200+32128)/2880=11.6g/m3・・・空気約1kgに含まれる水蒸気量

するとこの11.6gの飽和素蒸気量である空気が22℃の時は
湿度51.6%であり、当初の空気の湿度とほぼ変わりない。
と言う事は

結果

洗濯物を室内で干すと・・・

22℃の室内の空気は湿度約50%で安定する事になる。

実際は水蒸気の発生場所は排気用換気扇に近いので、湿気の完全拡散は無く湿気の多い空気は早めの排出されるので乾燥方向になります。そこで第三種換気システム(排気のみファンを使ったシステム)や第一種熱交換型換気扇(顕熱タイプ)を使った家では洗濯物を室内に干しても湿度40%くらいになります。11 数日前にご紹介した全熱交換の換気扇を使用したA邸の室内の湿度。人間の活動と室温の変化で湿度も数パーセント変わる事が見て取れる。

一方、第一種換気システムでも潜熱交換をする熱交換型換気扇タイプでは、湿度50~55%になる傾向があります。インフルエンザのビールスはこの50%以上の湿度では長く存在できないとされていると言うことと、体力の衰えた時には湿度を高めにする事で体内の無駄なエネルギー消耗(呼吸による気化熱)が少なく、だから湿度50%がよいとされてます。

Netsu 熱交換型換気扇  この画像は三菱電機さんから※外気温度 0℃、室内温度 20℃、温度交換効率75%の場合。 

オーブルデザインのSSプランではこの第一種換気システムでも潜熱交換をする全熱交換型換気扇(ダクトレス)を現在使っています。理由は、冒頭の洗濯物乾燥に使った熱を捨てない事による冬期の高湿度維持と、夏期のエアコン除湿の時、非常に効率が良いからです。この理由は次の③でお伝えします。

ここから先は追加事項ですが実は・・・

寒冷地の超高断熱住宅やパッシブハウス等では結露対策をした顕熱タイプの換気システムが推奨されています。これは全熱交換型換気システムでは、

1.湿気交換時に臭気等まで移動する←トイレは別系統になる

2.お風呂排気は高湿度でふさわしくない←風呂は別系統になる

3.高断熱先進国では顕熱タイプが当たり前

であるからです。

これについて私は

1.別系統で問題なし。(3分でOFF。消し遅れスイッチだけでOK)

2.床下暖房の家は2時間で浴室は乾く。(タイマースイッチでOK)

3.高断熱先進国(欧米)は日本みたいに冷房期間がない

と考えてます。

実は20年ほど前(1991年)、以前の職場で新大と一緒にこの全熱タイプ換気扇が浴室に使えるかどうか実験をしています。すると結果は、瞬間的には湿度が高くなるが全体的に考えると影響はないという結果となりました。よくよく考えると欧米では浴室は部屋の片隅にあったりして、殆ど換気扇が無い状態もあります。拙宅浴室でも冬期は換気扇は2時間でOFFで問題なく乾きます(床一部除く)。20年間実績もあり、湿度が50~55%で安定する全熱交換型換気扇でも支障は無いと私は現時点では結論付けています。

全熱交換型換気扇の夏の優位性とは・・・次の日に!

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